湖北里山の薔薇から湖南ベランダ園芸のバラへ

マキノの自然と雑木林の中で咲かせたバラを紹介してきた著者が引越し後ベランダで育てるバラを紹介

オリジナルのバラ(実生薔薇)

花を楽しむバラ栽培の基本として花が咲いた跡の花がら詰みは重要な作業の一つであるが、何百という花が咲くつるバラ、特に四季咲きのバラでは次々と花が咲くのでしばしば見落としが生じる。それらの花がらはやがて実を結び秋になると色づいてから初めて目に入る。バラの実は形も色もそれぞれ品種ごとに異なりそれ自体面白いがそれらを収穫し種を取り出して寒くなる前に土に埋めると翌年春に芽を出す。このような実生のバラは挿し木や接ぎ木と異なり、親と全く異なった独自の性質を有したものを生じることがある。発芽したバラを丁寧に栽培すると早いものは一年目に、遅いものでも翌年の春には花をつける。


これをさらにもう一年肥培すると一人前の花を咲かせるようになる。このバラは世界中他のどこにも無い唯一つのバラである。たとえばこの写真のバラは我が家ではトルストイの小説のヒロインにちなんでアンナカレーニナと名付けたバラで、十数年前にサラバンドとスパニッシュビューティーの親から生まれたものである。花の形はサラバンドに似て一重で弁質厚く雨にも打たれ強い。色は咲き始めはローズピンクを含んだ濃赤色で、咲き進むとだんだんローズが濃くなってくる。親はいずれもつるバラであるがこれは50cmぐらいでフロリバンダの様相を示す。


もう一例はグラハムトーマスとザ・ナンとの混血と思われるがセミダブルの丸い花が花芯を囲むように咲く黄玉と名付けた花である。色はグラハムトーマスの濃黄色で花の形はザ・ナンに似ている。香りもグラハムトーマスに似ている。このような実生バラは色や形が安定するまで数年かかることもあり、その後接ぎ木などで増やすのが普通であるが私は増やしていない。


同じグラハムトーマスの子供でも次の写真のようにこの黄玉とは全く異なるバラを紹介する。下の写真がそれであり、名前はまだ付けていないがつるバラのような気配を見せている。この両者は種をまいて4年目のバラである。このように自家製の薔薇を作ることは時間のかかることであるが楽しい作業でもある。今後さらにどのような花が生まれるか楽しみである。

下の写真は芽生えて2年目の花である。未だ木は充実していないが花の形や香りはこの段階でほぼわかる。花びらの数や四季咲き性、耐病性等は未だわからない。