湖北里山の薔薇から湖南ベランダ園芸のバラへ

マキノの自然と雑木林の中で咲かせたバラを紹介してきた著者が引越し後ベランダで育てるバラを紹介

バラの詩ーリチャード デーメル”Die Rose”

西洋の詩人はバラの好きな人が多いような気がする。ゲーテリルケだけでなく多くの詩人がバラをうたっている。
リチャード デーメル(1863年〜1920年)はプロイセンの詩人。彼の詩には、リヒャルト・シュトラウス、マックス・レーガー、アレクサンドル・ツェムリンスキー、アルノルト・シェーンベルク、アントン・ヴェーベルン、クルト・ヴァイルなど多くの作曲家が曲を付けた。また、彼の詩を元にしたシェーンベルク弦楽六重奏曲『浄められた夜』は特に有名。(ウィキペディアによる)

薔薇の夢を盗み見た、
清らかで冷え冷えとした香りに輝き
花の心のように赤く燃えていた;
夢を必死で盗み見て
それから私はうっとりした。


薔薇は太陽光線を夢見ていた、
昼間は薔薇の葉脈にみなぎり、
夜は夜露や月光と一緒に近づき、
空気の海に激しく泡立つ、
薔薇が夢を見られるように。

ところが薔薇はコガネムシを知らなんだ、
薔薇のがくを一生懸命上っていることを、
虫は匂いにもうろうとして丸くなり、
赤く燃えるような色にさし殺される;
薔薇はそれに気が付かない。

薔薇はそれぼど美しく無垢に輝いて
自分の燃える色に喜び笑う:
素晴らしい魂を持っている、私、
私はきっと女王様に違いない
花の仲間の中の。


そこへスチールブルーの蛾が飛んできて
薔薇への愛を羽音で表す。
薔薇は慇懃にささやく:やめなさい、
さもないと私の燃える膝がきみの墓になる、
何しろ私は光の花嫁なのだから!

ところが三日目の昼が来た、
薔薇の夢を盗み見て以来のことだった、
女王様の体は垂れさがり
太陽の光で折れ曲がり、ほこりにまみれ、
暑い光線に刺し殺されていた。
             (拙訳)